香りを手放すプロセス

私が、「身心一如のアロマセラピー」の実践・研究の中で知り得たことを、メールマガジンとして、お伝えしています。
ご感想・ご意見などありましたら、教えていただけると、とても有り難いです。


●「香りを聴く」こと、「香りを手放す」こと
香りに始まり、香りに終わる……ではないのだった。
ボディワーカーの仲間達と話していて気がつきました。彼らの仕事は、お客さんの身体に触れることに始まり、視覚的なイメ−ジをみたり微細な何か(エッセンス)を感じることもあるかもしれないが、最終的には「ここにある身体そのもの」に落着していく。
私がしていることはーー香りに始まり、身体内の感覚、イメ−ジ、感情、記憶、身体の動き、聴こえてくる何か、「場」の雰囲気など等、湧き起こってくる全てを受け入れ・味わい、やがて「今・ここで生きている自分とは何か?」をみつめて頂ければ…と行っていることなのです。

私自身、「香りを聴く=じっくりと香りと親しみ、耳を傾けること」をこのメルマガやWebsiteで提唱している者ですがあえて、「香りを聴く」ことと同時に「香りを手放す」ことも大切、と今回はお伝えしたいのです。
このメルマガを読まれている方には、ホリスティック(全体的・全体論的)なアロマテラピーの可能性について関心を持たれている方もいるでしょう。香りと心(そして魂)の関わりを考える時に「手放すこと」も重要であり、慎重にならなくてはならないポイントではないでしょうか。少なからず矛盾を含んでいますが(笑)。


●香りとの対話から、その先へ
私は精油(エッセンシャル・オイル)を販売することには重きを置いてません。「香りと対話すること」「香りをきっかけにして、自分の内側に耳をかたむけること」を大切にしてほしいからです。そのために香りや内面とやさしく対話する方法・ガイドの場を、ワークショップ等として提供しています。

香りは確かにいろいろな効果をもたらすものです。
自分を洞察する際に用いると、最初の入口にある抵抗感をやわらげてくれます。普段よりオープンに、湧き起こってくるままに受け入れ易くなります。
呼吸は自然にゆるやかになり、身体の内側の感覚をつかみやすくなります。気分もおちついて、「固まってしまった自分の見方」を離れて自身を省みれるようになります。
こうして始めは香りをきっかけにして自分を洞察し、やがて香りがなくても、内面や「身体の言い分」に耳を傾ける=インナーワークできるようになって頂ければ……と考えたのです。

どんな時でも、「自分のありままの呼吸を感じる」ことに帰るのが、1番の基盤です。
ラクな姿勢で「吐いていること」「吸っていること」をただみつめてみます。ゆったりと「自分の呼吸」と一緒にいるように。
香りとじっくり聴きいってもいいですし、香りを手放してもいいのです。
限りの無い世界の広がりと出会うために、香りを手放す時もあるでしょう。
さらにより自由に、香りと触れ合うためにも…。
「生」そのものが、大いなる全体性としてあるのです。


ただ今盛りの、桜の樹々を見上げている。
薄墨色や淡いピンクから目にもすずやかな緑色に変化していくのを、みつめて。
どうして花が過ぎるのと同時に、まったく自然に若葉が吹いてくるのだろう……。
どうして自然に、変化は起こってくるのだろう。
ただそこにとどまって、桜並木の下で立ちすくんでいる。
桜のように、植物のように、内側から芽吹いて変わることはできるだろうか。