「東京 定食屋ブック」ーーおいしくご飯を食べようよ

東京定食屋ブック (散歩の達人ブックス―大人の自由時間)


ワークショップの途中の昼食タイムに、
連れ立って、田町の路地の一角にある定食屋に入ったのです。
「コロッケ定食」や「めんたいこ定食」等、
黒マジックで手書きのメニューがぶら下がった、年期の入った店内。


常連さんらしい女性が慣れた様子で、
親父さんの代わりに、熱いお茶を淹れてくれたりする。


「ブンさんて、ディープなスポットを知ってるんですね〜。」
……どうも女の人の場合は、
こういう街の定食屋さんに入ることが少ないらしい。
そんな方達にこの「東京 定食屋ブック」交通新聞社刊 
をお薦めしたい。


大衆食堂では、なんとなくフツーにすぎていく、
フツーの日常が新鮮に見えることがよくある。
……この数十年のあいだに、東京は世界中のものを導入し……
実務的な洗練されたオシャレでおいしい店はふえた。
一方で土着的な人間臭い東京らしさを失ってきたが、
大衆食堂には、その「らしさ」が息づいている。
気取らない力強い食事、その建物や空間、
とりわけ食堂のおじさんやおばさんとのふれあいは、
ここにしかないものだ。
p80遠藤哲男さんの文章から


そうだよね〜。
三鷹でも荻窪でも、安くて、おいしい定食屋さんのカウンターに座っていると、
「この人達は何か崇高で深いミッションを持って、
この仕事をされているのでは…」
と感じる時がたびたびあります。
忙しくフライパンを降るおじさんや、
かたずけに走り回っているおばさんを見ているとね。


あまりにも身近で、さりげない所に、
とっても貴重な「何か」が輝いている、みたいな。


この「定食屋ブック」には、毎日まいにちご飯を作り続ける
あちこちの定食屋さん達の心意気が、たっぷり盛り込まれている。
フツーにおいしいご飯を目の前に出されるだけで、
「何か」が伝わるなんて……。
定食屋さんは、エライ。


そして定食屋で食べることとは、「街」を歩くこととも切り離せない。
「街」の風の中を歩くーーその時間と空間。
この風に吹かれてそのまま、
釜山やバンコクの街まで歩いていけそうな気もするよ


黄昏時に定食屋さんに入り、おかずと1杯のビールを飲む時。
ウ〜ンやっぱり、タマラナイッス。


▼「ザ大衆食」
http://homepage2.nifty.com/entetsu/
この本を企画協力されている遠藤哲男さんの、チカラの入ったHPです。