満月、シタール、タブラ、インディアン・フルートと香り


8月終わりの「満月瞑想会」は、スペシャル企画として木村倫朗さんのシタール、シェーンさんのタブラ、のなかかつみさんのインディアン・フルートと詠唱と共に、センツ・オブ・ノーイングの香りを同時に体験するいう試みになった。


実は私はこれまで香りと音楽を合わせることを、意識的に行なって来なかった。
私個人はむしろ「音楽は生き甲斐」といえるくらい好きなのだけれど、ワークショップ個人セッションではなにより、香りの体験に集中して頂きたかったからだ。その意味では文字通り、「実験」であったのです。


手順としては−−軽くストレッチをして身体を緩めてから、第1の香りを皆さんにお渡して「グループ瞑想」を体験した後、
第2の香りをお渡して「演奏を聴きながら2つの香りを味わって下さい」と話し、演奏の方々にバトンタッチした。
2つの香りを提示したということには、いろいろな意味がある。(▼これについては、香りの旅からの便り2004年9月「ふたつの香りが出会う時」で、近日中にお送りします。)


最後部の席に移って皆さんの様子をながめていると……、「場」に流れる通奏低音のような「何か」=繊細ではあるけれど、ひとつのエッセンスのような「何か」がそこにあるのが、感じられた。
もちろん音楽が主役であるのだが、香りが始めに提示された効果でもあるようだ。


シタールの「ビヨ〜ン」という響きや倍音が、心地よく、そして繊細に聞こえる。
香りには聴覚を高める効果もあり、照明をおとして聴覚に集中しているためでもある。
タブラはシダ植物の葉のように、フラクタルに旋回してリズムを刻んでいた。
時折交わされる演奏者のアイ・コンタクトにも、私は注視した。
それはさりげない一瞬のことだったが、その「同調」具合にはこちらも引き込まれそうになった。


インディアン・フルートは、砂漠の空気や、そこでさえづり遊ぶ鳥達、吹き抜ける風を感じさせた。
演奏している のなかさんはもちろん、自分も鳥に「なってしまい」、風とたわむれて飛んでいるように。
期せずして、伝統的なインドとネイティブ・アメリカンの音楽が、「有機体の音楽」となっていたのだ。
耳ではなく、自分のの60兆個の細胞ひとつひとつが、音を味わい愉しんでいた。
2つの演奏がそれぞれ、母性的と父性的でもあるようで、のなかさんの参加で全体の円環が布置きされたことにも感謝したい。
もとより発端は、ラーナ・オンサさん(占星術師/ヒーラー)と木村麗子さんの「こういう会があったらいいな」というアイデアと人脈から実現されたことであり、お2人にも感謝が尽きない。


「場」に、ひとつの共通のエッセンスを産み出す香りの用い方を、もっとやってみてもいいのだろう−−また新しい課題と愉しみが生まれました。