聞き覚えのないもの、未知のものへと開かれるプロセス


まだまだ仕事は溜まっているのですが…、息抜きにブラブラ歩いてタワー・レコードヘ。
ここで隔月で出しているフリー・マガジン「intoxicate」をもらってくる。
かなり先鋭的なジャズやクラシック(現代音楽も含め)の、CDやライブのレビューが集められているものなのですが、それぞれの筆者がかなりチカラを込めていて、
このクオリティで無料は脱帽です。


例えば最新号では、ギタリストのブランドン・ロス鈴木大介が対談しているのを引用するとーー
鈴木「あなたのアルバム『コスチューム』の感想を言わせてもらうと、次に何を聴くか、聴きたいかという、聞こえたい音というのを大事にしている、純粋な意味でのインプロヴィゼイションを久々に聴いたという気がします…」
ブランドン「…その瞬間、その場の即興というのは、いつ何時であっても難しい、深遠な挑戦だ…」
鈴木「現代は、すべてが自動的で…真のインプロヴィゼイションそのものが難しくなってしまった」
ブランドン「…みんな、覚えのあることを聴きたがるというか、「ああ、あれは知ってる」と思いたい。
僕は、弾かれるまで、歌われるまで知らなかった、聞き覚えのないもの、未知のものへと開かれるプロセス、その場所自体が、聴衆にとっても、チャレンジなんだ…それは瞬間的なダイナミクスのテンションとリリースの連続であって、
緊張の闘いの瞬間があり、また一瞬緩む弛緩の時があって、あの緊張感を維持するのは、容易なことではないんですけど。」


これは私には、グループワークのファシリテーション(進行)や整体のことのようにも聞こえます。つまり、「場」あるいは「身体内」に湧き起こるさまざまな「響き」に、耳をかたむけるーーということ。
「聞き覚えのないもの、未知のものへと開かれるプロセス」……振り返って反省させられる点が、いくつか感じられるなあ(ため息)。


ルー・リードの最近のライブ「アニマル・セレナーデ」と、「渋さ知らズ」やVINCENT ATOMICUSなど、今の日本のハードコアなジャズばかりのコンピレーション「Boycott Rhythm Machine」の2枚を購入。
「Boycott〜」では8つのグループの曲が収録されているのだけれど、結局その内6つには芳垣安洋さん(ドラマー)が参加している。(芳垣さんのライブについては、この掲示板でも以前に紹介しました。私が1番好きなドラマー/パーカショニストなのです!)
彼の、有機体を感じさせるグルーヴが心地よい。コスチューム