「生き方のコーチング」を読んでのメモ

●内面の「知恵の声を聴く」
「あなたはこれまで、こう訊かれたことはあっただろうか？　
『あなたは誰ですか？　
あなたがこの世でしたいこと、
あなただからこそできることはなんですか？』
……私たちの文化は達成の文化だ……しかしながら、常に働き続けなければならないということは、肉体的によりハードな思いをしなければ、満足いく結果に到達できないということでもある。
……あなたの存在理由を、仕事がなんであるかではなく、どういう人間なのかでとらえるーー
この視点の切り換えは、真に望む人生へ近づく、大きなステップとなる。」p168

ローラ・バーマン・フォートガングの「生き方のコーチング」は、「自分の人生がしっくりくる場所」＝最良の人生をみつけるための、ライフ・コーチングの本です。
それには何より「１人ひとりの心のなかにある知恵の声を聴くこと」が大切として、
「本来の自分を知る」「本来の自分に成る」「本来の自分を知る」
の３つの段階を設定して案内しています。
実際的な内容でわかりやすく、翻訳もこなれた文章で、とっておきのオススメ本！　なのです。

「自分はどういう存在なのか」「自分の本来的な資質」を理解し・受け入れることで、
どう生きていけばいいのかーーが不思議なほどにスッキリと見えてくる。目的意識と満足感が内側から生まれてくるのです。
さらに周囲の人との関係や「世界」も、チョッピリ親しみやすい雰囲気に変わって感じられて来るようです。

●「夢」を現実に落し込むには
「夢が本当に意味するところをどう解き明かすか、つまり、夢の本質を知ることが大事なのである。これこそが、あなたの実りある生きがいへの第２のアクセスポイントとなる。
夢の本質を知るということは、あなたの夢のなかにある実体を探し出すことである。この実体というのは、あなたの夢が他人にどう役に立つかにかかわってくる。」p180

「他人にどう役に立つか」という視点でチェックすることが、自分の夢（こんな風に生きていきたいな〜）を現実に定着させるコツなんですね。これは「目からウロコ」ではないでしょうか？
とてもエッセンシャル（本質的）なことと、現実世界での行動をシンプルに繋げて・活かそうとするスタンス・方法が、刺激になります。

本音を言えば……「ちょっと乱暴ではないか？」と思える部分もあります。
「心理療法は過去を癒し、コーチングは未来をデザインする」p22　とも書かれているのですが、
「過去を癒すこと」も「未来をデザインすること」も両方とも、
その方の時々の状況に、自在に対応して見ることができればベストではーーと私としては感じました。
ひとが抱える「○○でなくては」というような思い込み（コア・ビリーフ）を、やわらかく手放すアプローチも、あってよいのではないでしょうか。
ここで、野口晴哉氏なら何て言うだろう？
ミルトン・エリクソン氏なら？　……そんな風に想像してみると、さらに深い「何か」を見つけられるかもしれません。

●磁石になって幸運を引き寄せる
「あなたという人間の質を高めることにより、あなたはより質の高い要素を引きつけるようになる。」p194

自分の「引きつける」チカラを高めて、良い出会いやチャンス・成功を引きつけられるーーと書かれているのも興味深いです。

「『夢見の技法』のなかで、カルロス・カスタネダはこう書いている。『われわれのエネルギーの大半は、自らの重要性を保つために費やされている』……
エゴ…を縮小することに決めると、あなたの知恵や魂に刻まれた記憶、すなわち本来のあなた自身は大きく広がっていく。
ここで目指すべきは、こういったあなたが内に持っているものを、外へ、つまり物質的な世界へと出していくこと。
そして、自分がどれほど重要な存在であるかを訴えつづけなくてもいいようにすること」p204

これは現在の私には、とても響いて感じられる言葉です。
もっと自分の「本質」に深く耳をかたむけてみたら……どうだろう？
エゴから自由になって、「本来の自分」のままに生きてみたら……どうなるだろう？
そこから、どんな変化が羽ばたくだろうか。

●自分のチカラを再獲得する
この本を見返していて……（ナゼカ？）同じ箇所を何度も開いてしまうのです。
ここに顕れている何かを、時間をかけて味わってみたい。
そこにはこう書かれていますーー

「自分に与えるもっとも大きな愛とは、自らの力をどう分配するかに、ちゃんと目を光らせること……力を集める場所は、あなた自身のなかにある。
自分がそれを不本意に与えてしまう先は誰なのか……力が漏れ出てしまっているのはどこなのか……それが、あなたが自分をないがしろにしている部分だ。
その力を取り戻し、本来あるべき場所に収めることこそ、自分を愛することなのである。」p95

お腹の内側で、ウレシイ涙が泉のように湧いてきます。