産まれた家を訪ねる旅」の意味
あらためてふり返れば……
「産まれた家を訪ねる旅」とは、
どんな意味があるのでしょう?
私の1番「古い記憶」あるいは「古い夢」とは、
祖母の家に、家族で帰郷する時の夢なのです。
チョコレート色の車両で、
父と母そして赤ん坊の自分が、揺られている。
そしてフト気がつけば……
父と母が周囲にいない! ひとりぼっちの私。
かたわらには、まるで両親の身代わりのように、
ネットで包まれた冷凍みかんが、置かれている…。
こうした「ひとり置き去りにされる夢」は、
(それは夢とも記憶とも言いがたいものですが)
「誰も助けてくれない」という私が抱えていた
(これは過去形ですね)
深い思い込みに繋がっている。
さらには、産まれたばかりの子供は母親との強い一体感の中にいる、
といわれます。
出産前後に母が抱えていた「不安」や「孤独感」を、
赤ん坊の私が敏感に察知していたことが
関連しているのかもしれません。
今回父が初めて話してくれたのですが、
私の出生時に父は仕事で北海道に出張していて、
「出産に立ち会えなかったこと」を、
すまなく感じていたそうです。
私の名前にふくまれている「一」の文字には、
母が一人の環境でこの世に産んたーという意味も、
込められているらしい。
本当に、「家族の物語をひもとく、小さな旅」なんだな〜。
祖母の家を私が訪ねることとは、
当時の母の「孤独」の記憶をいやし・理解する旅でも、
あったのでしょう。