香りと人間の、「ヴァイブレーション」が響き合っている

香りの愉しみ、匂いの秘密

香りの愉しみ、匂いの秘密


●匂いの「最後の秘密」を解読する


「匂いの秘密とは……
鼻がその匂いを読みとる仕組みはわかっていないということだ。


……エンリコ・フェルミ
ノーベル物理学賞受賞者であり、最も偉大な科学者の一人)
でさえ、炒めたタマネギの香りをかぎながら、
『この仕組みがわかったら、素晴らしいと思わないか?」と、
ある同僚に言ったという。


……私は、自分がその暗号をついに解読したと思っている。
……私はこの3年間、その解読方法を使って
新たな香料の分子をデザインし、
それで生計を立てているのだ。」p11〜14



ルカ・トゥリン著「香りの愉しみ、匂いの秘密」河手書房新社
を開くと、こんなフレーズが目に飛び込んできます。
天才的な香料化学者にして、
香水マニアのルカ・トゥリン氏。


まるで映画「パピューム」の主人公が現実に生きていて、
その「最強の鼻」で、美しい謎に挑んでいるようです。


「ひとは、どうして香りを感じることができるのか???」


という根本的なメカニズムを解明しつつあるというルカ・トゥリン氏の著作は、
香りとアロマテラピーに関心を持つ全ての人にとって、
ひじょうに刺激的で、注目すべきものでしょう。



ひとが香りを感じる時、実際何が起こっているのでしょうか? 
それは……
匂いを感じさせる物質つまり「伝達物質」と、
細胞表面にある「受容体(レセプター)」の出会いです。


「鍵と鍵穴」にも例えられる「伝達物質」と「受容体」ですが、
それでは何があって?
「鍵=伝達物質」が、「鍵穴=受容体」に差しこまれるのかーー
という疑問が生まれます。


そこにルカ・トゥリン氏は、
分子が「振動していること」が関わっていると主張する。
「振動」や「バイブレーション」が匂いの「最後の秘密」にあるーー
というのがルカ・トゥリン氏の「振動説」なのです。



私もワークショップ等ではーー
「バイブレーションとバイブレーションの出会いこそが、ひとが香りを感じる体験」
ーーと、お話してきましたので、
「振動説」はよく共感できます。


ただ、まだ「何か」が足らない。
「何か」が、まだつかめてない感じが残る……。



●化学だけではなく、「意識の探求」も必要なのです


ひとつの香りを誰もが同じように感じ、認識するわけではないからです。


例えば「ローズ(バラ)」の香りを、
「素晴らしく優雅で、心地良い香り」と感じる人もいれば、
「それほどピンと来ない方」も、おられます。
そこにはそれぞれの香り(分子)が持っている特質以前に、
その人自身が持っている「感情」や「記憶」、
「意識」がどうしても関わっているからです。



私のこれまでの「基本セッション」の経験・蓄積から申しますと、
http://www.unfold.jp/session/session.index.html
ローズの香りは、その方の「自己受容」あるいは、
「母親との関係性」に関わりがあります。


それが「良い」とか「悪い」とか、言っているのではないのです。


むしろ「ローズ」の香りをきっかけに、
母親へのネガティブな感情が思い出されてくるとしたら……
それを「ただそのまま」みつめることが、
やがて「気づき」や「成長」につながっている道です。


ネガティブな、不愉快な感情にも向き合うことが、
実は創造的で成長するプロセスなのです。



現代の科学的な視点からみることが、
「よりトータルな、統合的、全体的(ホリスティック)な視点」から、
自分を遠去けてしまう場合もある、わけですね。


匂いの根源的な秘密に近づくために、
化学的なアプローチも大切でしょうが、
「内観」や自分の意識とワークすることも、やっぱり必要なのです。



「匂いの秘密」を解明すれば、ノーベル賞も夢ではないそうです。
実際に、2004年のノーベル医学生理学賞を受賞したのは、
嗅覚受容体に関わる遺伝子を発見した、
リチャード・アクセル氏とリンダ・バック氏でした。


ルカ・トゥリン氏の文章を読むとーー
頭の回転の良さ、幅広い教養を持ち、
とても情熱的な人物であるのがわかります。


同時に彼が香りに魅了される以前に、
何かマインドの「もつれ」のようなものがあるのも、
感じられるのです。


私のワークショップにも、
ルカ・トゥリン氏に参加していただければ良いですね!
……と、これは半分ジョークですが(笑)。
彼が「まだ未発見な何か」……
化学的な追求だけではつかめない存在レベルでの洞察を
"アンフォールド Unfold”のワークショップで、見つけられるかもしれません。



ともあれこうして、「香りとは振動である」という書物が、
街に出回るようになってきたという事実ーー
とても喜ばしい春1番のニュースです〜〜!!



▼ルカ・トゥリン氏関連の本
「香りの愉しみ、匂いの秘密」ルカ・トゥリン著 河手書房新社 2008年

匂いの帝王

匂いの帝王

「匂いの帝王ーー天才科学者ルカ・トゥリンが挑む嗅覚の謎」
チャンドラー・バール著 早川書房 2003年



よかったらあなたも、
香りの最後の秘密である「バイブレーション」に触れる、
"アンフォールド Unfold”のワークショップに、ご参加しませんか?

●「新月と香りの会」+「ローズ特集ワークショップ」3/8土、10月、11火、13水
詳しくは、"アンフォールド Unfold”HPからご覧下さい。
http://www.unfold.jp/workshop/newmoon-rose.index.html