【おすすめ】「うつの世界にさよならする100冊の本」

うつの世界にさよならする100冊の本 本を読んでココロをちょっとラクにしよう

うつの世界にさよならする100冊の本 本を読んでココロをちょっとラクにしよう


この本では、いろいろな本と出会うことで、薬に頼らないで、
「うつ」から恢復した
寺田さんの体験を基として、
とっておきの100冊の本を紹介されています。


さりげなく、穏やかな雰囲気に包まれた、軽やかな本。
でも実は奥深い配慮がなされているようで……
とても参考になりました。



目次をみますと……


「いま、そこにいてもだいじょうぶ」


「自分を知る〜うつは、自分を知るための贈り物」


「思いと在り方を知る」


と見出しが並んでいる中に、


「あの女(ひと)に学ぶ〜みんながうまくいっていたわけじゃない」
という文章があります。




「『あの女(ひと)ばっかり、ずるい……』


華やかに活躍している女性を見て、
そんなふうに思いませんか?
わたしも、ずっと思っていました。


……その秘密を知りたくて、
ちょっぴり意地悪な気持ちで本を読んでみれば……。



実際には、陽の当たるところだけを歩いてきた人なんて
いませんでした。


いまは華やかに見える彼女たちだって、
たくさん大変な思いをして、つらいことを乗り越えて、
いまの場所に立っていたのです。



……おいしい近道なんてない。
それがわかったことで、自分の人生も1歩1歩進んでいくしかない
と思えるようになったのです」p120から




「ロール・モデル」といいますか、
自分にとっての「指標になる人物」と出合えますと、
ふしぎに生きるのが「ラク」に感じられるようになります。


本や雑誌のインタビューや、ドキュメンタリーのTV番組や映画を、
「自分にとってのロール・モデル」を探すーーという視点から
みてみますと、発見があったりしますね。



「ぶりかえしても、だいじょうぶ」ーーと、書かれている章もあります。
乗り越えたはずの「うつ」が、また戻ってきているようなプロセスも、
あるからです。
ここまでフォローされている目配りに、
うつを当事者として体験している著者ならではの「重味」と、
「真摯さ」を感じます。



私も、自分の「ウツ体験」を自力で乗り越えてきました。
最近は、「あの体験はなんだったのだろうか?」と、
ふり返ることが度々あります。


一言でまとめれば……
「ウツは、自分の人生を深める体験であった」
となるでしょう。
長いウツの期間があったから、
自分の人生は一まわりも二まわりも、
陰影深く、味わいのあるものとなった。



実際には多くの方々が、
自身のうつ体験を「悪いこと」「隠すべきこと」のように、
マイナスに受けとめている場合が少なくないですね。


「人生を深める体験」として「うつ」をとらえる智慧が、
もっと身近に「ひとつの文化」として認められると、
良いのにですね〜。


この本を執筆していただいたことに、感謝です。