「無音の時」に死と再生のメディテーションをする☆有本紀さんの即興

「無音の時」に死と再生のメディテーションをする☆有本紀さんの即興演奏コンサート

演奏は次第にゆっくりと、テンポを落として行き……、
やがて「無音の時間」が訪れた。
そして私は、父と自分自身の「心臓と呼吸が動きを止める瞬間」を、
メディテーション(瞑想)していました。


12/13(金)は、友人のピアニスト有本紀(Mukobu)さんがベーゼンドルファーのピアノで即興演奏するコンサートに、行ってきました。
イヤ〜〜、驚かされました!
演奏直後に私は有本さんに話しかけようとしたのですが……、
感動のあまり、言葉を話せなくなってしまった。
50代の中年男が、涙が止まらなくて話せない状態なのです。


この日のコンサートは、前半が有本さんの作曲した曲や、クリスマスソングが演奏され、
後半に即興演奏という構成でした。
私が会場に到着した時、お客さんが少な目でしたので……、
「車で言えばファラーリ級」という豪華な、ベーゼンドルファーのグランドピアノの、
反響板の真ん前の席に座らせていただいた。
つまり「かぶりつき」の席で、音の響きに頭を突っ込むように聴いてみた。


「曲」という形の無い即興演奏が、やはり有本さんの本領発揮であるように、
私は感じました。
それは、「『音』と『響き』に聴き入り、ただ自分を溶け込ませる」ような、
つまり「聴くメディテーション」です。


時に、インナー・チャイルドの記憶に戻り、味わう時があり、
時に、小鳥が空を飛翔するような時がある。


これを繰りかえしながら……
演奏は次第にゆっくりと、テンポを落として行き……、
やがて「無音の時間」が訪れた。



4年前、父が末期ガンで亡くなる最後の3日間、
私はベッドサイドにいて、昏睡状態の父とただ「呼吸」を合わせて・感じていた。
父の「吸う息」「吐く息」にペーシング(同調)して、
自分の呼吸の音で、「隣にいますよ」と、伝えていました。


呼吸と脈拍は、次第にユックリ遅くなって行き……、
最後に少しあえぐような呼吸をして、
「沈黙」がおとずれた。


「こうして心臓は、停まっていくのか……。」
そして同時に私自身の、
「心臓と呼吸が止まる瞬間」を瞑想した。


自分は、「波動(バイブレーション)」にただ還っていくようだ。
感情は消え、大いなる静けさに拡散していく。
「こういうのも良いものだな」
と、何処かでもう1人の自分が言っているような。


やがて……
新しい響きがポロン、ポロンと、聴こえたきた。
春になり、土の下で、
タンポポや野草の根が広がるように。


これは、mukobuさんからの「再生」の呼びかけの音だろうか……。
「こだわらなくて、イイんだよ」
「エゴの拘りから、自由になってイイんだよ」
と呼びかけられているような……。



そして、眼を開くと……、
「ひと仕事終えた」という安堵の表情の、mukobuさんがいました。


「音」と「響き」に聴き入ることが、瞑想であり、
演奏することが、瞑想である。
時空間を共有することが、瞑想であり、
このバイブレーション(振動)に共振することも、瞑想であるだろう。



●有本紀(Mukobu)さんのfacebook https://www.facebook.com/toshi.arimoto