ふたつの香りが出会う時


●ふたつの香りが出会う時、ちょっとした神秘が生まれる
8月30日の満月の夜は、シタールとタブラによるインド音楽演奏、そしてネイティブ・アメリカンのフルートとドラム演奏・詠唱と香りを同時に愉しむという試みを、行いました。


そこで私は2種類の香りを、小さな紙(試香紙)に点けて、皆さんにお渡しした。
ひとつはヤロウ、ジュニパー・モンタナ、フランキンセンス(乳香)のブレンドで−−「浄化」と「免疫系のバランスをとる」香りです。腎臓を活性化して老廃物の排出をうながす効果があり、内面や人が集っている「場」も浄化します。
もうひとつは私が個人セッションでもちいる“センツ・オブ・ノーイング”から、「Thru Golden Spiral」というブレンドされた香りです。誰もの中にある「内なる子供」の持つ純粋さ・輝き・無辜を想いださせる香りです。
これらを「音楽を聴きながら、かいでみて下さい」とお話して、演奏を開始して頂きました……。


2つ以上の香りを合わせる時、そこにはちょっとした神秘が生まれる。
希釈した植物の香りを小さな紙に点けて、両手に持ち同時にかぐ−−たったこれだけで、無数のバリエーションを作れることになります。
香りは人により「好き/嫌い」のあるものですが、例えば「好きな香り」を手前に持ち、「受け入れにくい香り」を離して持つと、2つの香りは立体的に混合された状態となり、より受け入れやすく、同時に複雑な「全体性」を持った香りとして感じられるでしょう。
香りをかぐ時、「香りとのちょうどよい距離」をさがすことが、コツです。


もちろん気分で、交互に取っかえ引っかえしてかぐこともできますし、
(実は香りは、身体のいろいろな部位でも感じられますから)一方をハートや眉間で感じ、もう一方を丹田仙骨で感じる、というようなこともできます。


こうすることで普通の聴衆として音楽を受けとるだけではなく、「刻々変化する音楽と香り、イメージや身体感覚などのプロセス」として、よりアクティブに、より親密に、愉しむことができるでしょう。


●「共通性」と「違い」
アロマテラピー(芳香療法)の愉しみのひとつとして、自分で香りを調合(ブレンド)して、オー・デ・コロン等を作れることもあります。
専門的には調合の方法はいろいろあるでしょうが、基本的には2種類の香りを合わせることから、どなたでも始められます。


その時お勧めしたいコツは−−2つの香りの「共通性」と「違い」に着目することです。
「共通性」や「重なり」を大切にしつつ、「違い」をどう活かしていくかを創造すると、ふくらみや物語性を持った香りを(自分でも予想していなかったくらいの!)創れるでしょう。


2つの存在の「共通性」と「違い」を共に大切にするというのは−−夫婦やカップル等のひととの関係性においても大切なことですね。
出会った頃は「共通性」ばかり見えているので問題はありませんが、やがて「共通性」を忘れて「違い」にばかり目が向くようになりがちです。そんな時こそ、自覚的に「共通性」を振り返ってみる必要があるでしょう。


さらに、自分の側の「……でなければならない」というこだわりからできるだけ離れて、お互いの間にある矛盾を、いわばその「波間」を味わってみることはできないでしょうか。
−−私もけっしてエラそうなことは言えませんが(トホホ)、そんなことを香りの内で夢想しています。


▼実際に、植物の香りの調合(ブレンド)を体験してみたい方は、どうぞお問い合わせ下さい。bun_tao@yahoo.co.jp
まったく始めての方のための「ブレンド講座」なども行っています。