「ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣」

自分でもフシギなのですが、その時私は「お金」の本を選んだのでした…。

押入れをガサコソ整理していたTさんが、「なんでも好きなものを持って行って。」と目の前に不要になった本を積み上げた。
そこから、ナ〜ントナク感じて・選び出したのが、この1冊でした。
読み始めたら……この本にある豊かさや深さに驚かされた次第です。

「周りからの批判や反対の本質を知ることなんだよ。
まず最初に、批判は、単にその人が物事をどう考えているのかという意見表明にすぎないということだ。君の価値とはまったく関係がない」
……「批判の本質は、君が前に進むための向かい風なんだ…羽ばたくためには向かい風が必要なのだ。
……君を批判する人を恨むのか、彼らに心から感謝できるのかで、君の人間の器が決まる。批判する人間は、往々にして、君の最大の理解者になるもんだよ。実際のところ、何の興味も示さなければ、君を批判することはない。」p221

ここが、1番感銘を受けた部分です。
じっくり考えてみれば「あたりまえのこと」かもしれませんが……なかなかこんな風に受け入れられないでしょう。多くのひとにとって、褒められたことより批判されたことの方が、過大に感じられるものです。

この本は、著者が20歳の頃に老富豪から教えられた、「富と幸せに生きること」の智恵の数々について書かれたものです。
それは単に経済のレベルにとどまらず、心理学の基盤もあるようですし、それを越えた「生き方の哲学の豊かさ」を感じさせられます。

正直な話、「お金の問題」に触れることへの「恐れ」に、私は気づいた。
今まで経済やお金についての本を手に取ることは、ほとんど皆無だったのですが……今の私がこれを選んだということにも、「たしかに変化が起こっている」と言えそうです。
この「恐れ」とは何でしょう?
これと向かい合ってみたいのです。肩からチカラを抜いて。
「恐れ」をそのままに認めることーーこれが、それから自由になる「入り口」でしょう。

「成功する人間は、ものがその存在のありのままに見える……物事の本質を見抜く目をもつこと。それこそが幸せに成功するための大切な要素なのだ
……そのためには、自分の中の恐れ、不安、偏見や思い込みをすべてクリアにしなければならない」p28

著者は「幸せな金持ち」になる秘訣として第1に、「自分が大好きなことを仕事にする」こととしています。
これは、アブラハム・マズローの「自己実現」という思想を内向きではなく外向きに、経済活動や関係性、社会へと展開する応用とみれるのではないか。
マズロー人間性心理学の流れでは、「自己実現」の先に「至高体験」のような内面を重視する姿勢が、やはりどうしてもあります。

むしろ筆者の提唱するスタンスの方が、ずっと健全であり(派手ではないけれども…)、「セラピー」や「癒し」を越えた、誰もの中にある「成長しようとする芽」のようなものを育てる雰囲気が、息づいています。
この「健全さ」こそ、大きな可能性を持っているーーと、私にはおもえるのですが、伝わるでしょうか?

「私は、常々一個人が世界に貢献できることは、ただひとつ。その人が生まれてきた使命に気づき、それを生きることだけだと思う。
それには『自分の好きなことをやる』ただそれだけでいい…好きなことをやっていれば、その人は幸せになる。幸せな人は周りを幸せにするパワーをもつ。」p65

著者にとってのメンター(人生の師)はこのようにも言ってますが、これは「自分のこと」に単に自閉するという意味ではありません。
むしろこれもまた、謙虚に社会に向き合うひとつの姿勢であり、じっくり味わうと新鮮な響きがあります。

本田健氏のWebsite「幸せな小金持ちになる」もあります

このブックレビューは私のWebsiteでも読めます。http://www.ne.jp/asahi/bun/tao/books/index.html
他にもいろいろな本をホリスティック(全体的・全体論的)あるいはタオ的な視点から紹介していますので、よかったらご覧下さい。

ユダヤ人大富豪の教え