「瞬間の師匠」をみつけるには…

私が、「身心一如のアロマセラピー」の実践・研究の中で知り得たことを、メールマガジンとして、お伝えしています。よかったらお付き合い下さい。
ご感想・ご意見などありましたら、教えていただけると、とても有り難いです。


●瞬間の師匠
いつの頃からか……私は求め始めていましたーー
「自分にとって、たしかに『師』と呼べる存在と出会いたい」と。
自分の探求を導き・より深めさせてくれる「師匠(あるいは師)」とは何でしょうか?
オウム事件等の記憶もあり)扱いのデリケートな話題ですが、今月は「師匠」について洞察してみたいのです。


精神科医 神田橋條治氏の著作は、「師匠」との関係についても考えるヒントを与えてくれます。
神田橋氏によれば、2通りの「師匠」があるようです。
ひとつは、自分の専門分野における「師匠」。
もうひとつは、分野は異なっていても助言を与えてくれる、その時々の縁によって出会う「瞬間の師匠」です。
専門的なスキルを高めるための「師匠」が必要なのはもちろんですが、
自分に「師を求める」意識を持ってさえあれば、広くさまざまな領域にそれを見出せるわけです。

ここで大切なのは、「師匠を求める」眼を澄ませていることでしょう。
「師匠」とはむしろ、「弟子」によって選ばれる存在。
師匠が弟子を選ぶというより、弟子の意識のあり方が「師匠」との縁を引き寄せる。



●多重的な「教え合う・学び合う関係」の広がり
このメルマガを読まれている方には、セラピーや癒しに既に関わっている方や、関心を持たれている方が多い、とおもいます。
そこで、「自分(施術者)ークライエント(お客様)」の2者関係だけで背負うのではなく、
「専門分野の師匠ー瞬間の師匠ー自分ーお客様」の多角的・多重的関係の中で、成長や癒しのプロセスが育まれる可能性もあるーーと提案したいのです。

クライエントへの倫理的責任も不可欠ですが、
多重的な「教え合う・学び合う関係」の広がりが救ってくれるものも、また大きいでしょう。
(お客様からこちらが教えられ・導かれることも、しばしばありますね。)


私はある方と雑談していて、2人の間に京都・東寺の立体曼荼羅(21体の仏像を配置して立体的に表現された曼荼羅)のようなビジョンを、幻視したことがあります。
(これ自体はタイシタことではないワケですが 笑)、
「アア、そういうことか!」とひとり納得しました。

相手の内に、完成されたエッセンスの集合体=「全体」を見、
相手との「間=場」にも「全体」が息づいている。
そして私の内にも「全体」が含まれてあるでしょうから、こうして「全体」のビジョンも現れている。
「全体」の内に私があるのだろうか…、それとも私が「全体」であるのか…。

私たちは虚心に・オープンに耳をかたむけ合いさえすれば、
多くの「師」との「学び合う関係」の可能性に、開かれています。
こうした「瞬間の師匠」を探して、周りを見てみたら……いかがでしょうか。

▼参考ーー「師匠」について詳しくは、神田橋條治著「精神療法面接のコツ」岩崎学術出版社 に書かれています。
また、「対話の技 (副題 資質により添う心理援助)」新曜社 も師匠と弟子の関係について深く考えさせてくれて、チョーおすすめ本です。精神療法面接のコツ
対話の技―資質により添う心理援助