グナワ音楽と「黒いトランスの香り」ーーエキゾ夢紀行モロッコ篇
「たった今の私にとって、ワクワクすることって何だろう?」
そんな風に感じていたまさにその時、
世界中から「エキゾ」な音楽体験を紹介するサラーム海上さんから、
こんなメールが届きました。
「サラーム海上のエキゾ夢紀行・モロッコ・LET'S TRANCE編。
今回は6月に訪れたモロッコ・グナワフェスティバル最新版です。
添付写真のガイ、齢100歳近くにしてこの肌のツヤ、
老マアレム・モハメッド・アハレーズの謎とは?
マアレム・ブラヒム・ベルカニが悪魔の山で行われた、
グナワの儀式において交わした契約とは?
禁断の女性だけのモロッコ音楽ハダラットとは?
グナワ界のジェフ・ミルズことマアレム・モクタル・ギニアとは?
サラームが撮り下ろしたビデオを中心に現地で手に入れたVCDや DVDを用い、
グナワとそのほかのモロッコ・トランス音楽に迫ります。」
▼詳しくは、サラーム海上さんのブログをご覧下さい
http://salamuna.exblog.jp/d2007-08-08
これは行くしかないですね〜!!
早速スケジュールを変更して、
陽花と渋谷アップリンク・ファクトリーへ向いました。
グナワとは何か?ーー
HP gnawafunkさんを参考にさせて頂きますと、こんな風に書かれています。
http://homepage.mac.com/tshimaguitar/indexgnw.html
「グナワ伝説はこう語る……
予言者の娘、ファーティマが深い鬱病にかかっていた。
彼女は部屋に引きこもり、夫であるアリーすらにも会わないと言う。
その頃は子供もいなく、予言者の家系の存続も危ぶまれていた。
誰も彼女のことを救うことが出来なかったので、予言者はビラールに頼んだ。
ビラールは木でカスタネットを作り、
髪の毛を一つのドレッドにし、貝殻で飾り付け、
ファーティマの部屋に入った。
彼はその一本ドレッドをくるくる回しながら歌と踊りを披露した。
するとファーティマは心の底から笑い出し、
鬱状態から戻って来れたと。
その後しばらくしたらファーティマはアリーの子をみごもったという。」
笑い、踊り、歌、生産力はグナワのアイデンティティーにとっては中心的な要素で、
それは全てグナワの儀礼や活動から来るもの。
(略)グナワはどちらかと言うと古くからある伝統的な音楽療法である。
現在、活動しているMaalem(師匠)らの中でもmusicotherapist(音楽療法士)と
称されている人もいるくらいだ。」
つまり、北アフリカ・モロッコを中心に伝承されてきた、
民間信仰でもあり音楽療法でもある儀礼。
「リーラ」という儀式を行い、
tbel(太鼓)、ギンブリ(ベース三線)、カルカバ(鉄製のカスタネット)という楽器で演奏される。
夜を徹して人々は唄い、踊り、トランスによる癒しを体験する。
「呪術的な音楽」なんて表現も見受けられますけど、
これはマジで「トランス」するための(!)音楽と儀式なんですね。
サラームさんの撮影されたビデオをみますと、よく伝わってきます。
「トランス」状態に入ることへの意気込み、本気度、
そしてトランスが社会に根づいている普及度(!)が、
ケタ違いなんです〜。
私は、なんだかウレシクなってしまいました。
▼Youtubeでみつけたグナワの演奏です
特に印象深かったのは、女性だけのグナワ「ハダラット」や、
サラームさんが最初に招かれた「リーラ」での、
女性ヒーラーが中心になってのグナワ。
その「場」にたちこめていた「匂い」が、
モロッコには行ったことがない私にも、感じられてくるようなんです。
クース・ルーの重たいベース・ノートを中心に、
クローブ、サンダルウッド(白檀)、イランイラン、
それにネロリもブレンドしたらどうでしょう。
深くしまいこまれた「黒いセクシャリティ」が、
グナワのトランスするリズムによって引き出され、
広がっていくようです。
「なんちゃってトランス」ではない、
「マジなトランス体験」。
これを誰にでもできる形で、ノン・アルコールで、
知的でもあり、けれどおおらかな雰囲気で、
体験できる場を日本で作れれば……
と私はおもいました。
▼これもYoutubeでみつけたグナワ・ミュージック・フェスティバルらしい映像。
こんな演奏が街のあちこちで無料で繰り広げられている…。