「エクスタシー」や「トランス」をなぜ求めるのかーースーフィー音楽講座から


ひとは「エクスタシー」や「トランス」を何故求めるのか?
それは、神秘家グルジェフの自伝を描いた、
映画「注目すべき人々との出会い」から始まった……。



昨夜は、気鋭の音楽ライター サラーム海上 http://www.chez-salam.com/
「ワールド音楽・中近東〜インド音楽入門」の連続講座での「スーフィー音楽」の回に、
私は参加してました〜。


スーフィーとはイスラム神秘主義と関連する音楽ですが、
その起源は、イスラム教成立以前にあった、
原初的な民間信仰にもあるようです。


昨夜の講座では、スーフィー音楽の中でも有名なメブラーナー教団から、
「キャーニー・カラジャ」の朗誦や旋回舞踏のDVD、
Youtubeでみつかるスーフィー関連のさまざまな動画をとうして、
スペインからパキスタンまで、国境を越えて世界に影響を与えている、
スーフィー音楽を巡って考察しました。



こうしてみますと……
世界の音楽の中には、「エクスタシー(宗教的な法悦状態)」や「トランス」にダイレクトに関連するものが、かなりあるのがわかります。
もちろん、全ての音楽がそうであるというわけではありませんが、
超越的体験あるいは神秘体験と、
民族音楽から現代的なテクノ/アンビエント系音楽まで、
人の内面においては通じるものがあるーー
ということは興味深いです。


ひとは「エクスタシー」や「トランス」を、何故求めるのでしょうか??
音楽を楽しむという、とても身近な場面でも、
「エクスタシー」や「トランス」を求めるのは、
何がそうさせているのでしょうか?


人類学、宗教学、心理学、シャーマニズム研究と、
ワールド・ミュージック(この呼び名は私にはギモン?ですが)が、
クロスオーバーする領域があるわけですね。
私のような者にとっては、とてもワクワクするテーマです。



特に注目したいのはーー
Youtubeでみつかったという、パンを焼く中年女性の画像でした。


小麦粉を練って、平たく広げてパンの生地を作っている女性。
横にいる老婆の口ずさむチャントのためでしょうか……
またたくまに女性はトランス状態に入って行きます。


悲しみの表情で、身体を震わせ、
雄叫びをあげ、
パンを焼くための燃えている薪も素手でつかんだりして、
興奮状態にあるようです。


周りにいる仲間の中年女性達もこれには馴れている様子で、
彼女の作りかけのパン生地を引き取り、作業を継続しています。


やがてドラムを叩き始める女性もいて?……
パンを焼くというごく日常の作業が、
「トランス」の場に連続的に変容してしまいます(笑)。



心理的・宗教的体験という面からみますと……
こうした「エクスタシー」や「トランス」は、本当に「入り口の体験」ではあるでしょう。
それでも、その人が安心・安寧を得て生きて行くために、
こうして素朴な「トランス」を必要としているというのは、
やはり興味深く、
微笑ましくも感じるのです。


そして私の経験からいいますと……
こうした「エクスタシー」「トランス」体験は、私達にとってけっして縁遠いものではないのです

クンダリーニの上昇も関わっているでしょうが、
何かをきっかけにして、多くの人に起こる得ることでもあるでしょう。


「エクスタシー」「トランス」体験の中にある人達を、
温かい・包容力ある目で見守るコミュニティや社会を作れると、
いいですね。



とても充実した内容だった「スーフィー音楽」講座、
サラーム海上さんに本当に感謝です。


▼ 冒頭の動画ファイル「Mystic Iran -- Women dervish dance and trance」は、
昨夜の講座で紹介された、イランの女性達主体によるトランス儀礼の様子。
後半から、パン焼きの場面になります。



▼ この和光大学オープン・カレッジの講座は、後期の追加募集もしているようです。
関心をお持ちの方はぜひどうぞ!
http://www.wako.ac.jp/kaihou/koza08/detail.php?id=45