「エリックさんちの台所」の創造性

料理の本は眺めているだけでチョット幸せになれるのは、どうしてでしょう?
美しい写真、色とりどりの食材や器との組み合わせの妙もあるけれど…、
エリック・ガワーさんの料理が素晴らしいのは、「創造性(クリエイティビティ)」を見近に触発してくれるから、ではないだろうか。

この本「Eric's Kitchen エリックさんちの台所」角川書店刊 は、アメリカ生れ・鎌倉在住のエリックさんが、「日本料理のすぐれた点と、他の国の料理、特にイタリア料理のすぐれた点をブレンド」したレシピ集で、一風変わった組み合わせだけど簡単に作れて、しかも美味しい料理を紹介しています。
「まぐろのたたき マンゴととうもろこしのサルサ」とか、
「ポテトとインゲンのサラダ オレンジ味噌ドレッシングあえ」とか、
「イタリアン・パセリ風味の焼き豆腐」とか。
地味で、目立つものではないけれど…、こんな料理本はナカナカ無い、でしょう。

これらの中で私が時々作るのは例えば…、「トロとアボガドとレモンのスプレッド」カナ。
アボガドをトロ(ネギトロ用の安いもので可)をエキストラ・バージン・オリーブ油とバルサミコ、レモン汁、塩、胡椒で和えるだけで、できあがり。
でも私は、トロをタコに変えて、オリーブ油には刻んだプルーンの甘味を加えたり、アレンジしてしまいます(笑)。
エリックさんのレシピは、食材やスパイスを大胆に応用するのに自由度が高く、オープンなのです。

ハーブをよく使うことや、ワインとの相性の良さも特長。
(上に引用したレシピでもわかりますように)生ハーブの香りや、オレンジやレモンの酸味が料理にもうひとつ、ハーモニを付け加えます。
アロマと親しむと味覚も敏感になり、ワイン等をより美味しく感じられるようになるーーという効用が、実はあります。
前菜代わりにローズやジャスミン…お気に入りの精油を少しずつかぎながら、
ワインを楽しみ、ゆっくり食事をいただくというのも、時には愉快な体験です。
アロマが味覚をより繊細に感じさせ、ワインがアロマの世界をより豊かに広げてくれるでしょう。

「創造」と「自由」は、小さな台所のテーブルからでも、始まるものなのです。エリックさんちの台所 (海外シリーズ)