ロールキャベツと、母の記憶


駅前の総菜屋で、ロールキャベツのパックをみつけて、購入しました。


私にとってロールキャベツは、ダイレクトに母の記憶に結びついている。
(母も父も元気なので、過去形で語ってはいけないのですが…。)
かつて母は、時おりロールキャベツを作ってくれた。
それが、父の好物のひとつだったからだ。


ロールキャベツの特有の香りをかぐと……、
まだ30代前半だった母のイメージが、蘇ってくる。
若い母親の、体臭さえ感じられる…ような気がする。
ロールキャベツは私の家族においては、
古い、幸福な記憶の象徴のようなもの


もともと料理が得意でない母の、
ロールキャベツは、それらしい料理がいちおう作れる数少ないひとつ、だった。
つまり、とっておきのレシピ。


その頃彼女は、内面ではおそらく幸福ではなかったはずだ。
「間違えて(父と)結婚した」と、何度も聴かされた。
子供の私の知らない所で、20代・30代の母は、
たくさんの傷つきや苦しみを抱えていた…はず。


現在の私にとってはーーこの若かった頃の母親が抱えていた
1種の「うらみ」のような感情に向かい合うことが、
当面フォーカスしたいテーマなのです。
それが、胎内にいた私、幼児だった私に影響を及ぼしていただろうから。



お彼岸に墓参りに帰ったら、母親に聞いてみよう。
あの頃、ロールキャベツを作りながら、何を感じていたのかーーと。